オフィスの廃棄物の処理は、一般家庭のごみの取り扱いとは違います。事業活動で生じたごみは、排出者が処理を委託する工程を把握しておかなくてはならないためです。
やはり、委託先の業者を探す時は費用をいかに抑えるかという点を優先して考えてしまう事業者も多いでしょう。費用ももちろんですが、オフィスの廃棄物処理を委託する際には法律に従った処分ができる業者を探さなくてはなりません。
この記事をご覧になると、オフィスの廃棄物の処理を進める手順がわかります。産業廃棄物の処理に関する法律に添った委託をすることで、最終処分を滞りなく完了可能です。適正処理をするためには委託する業者を選ぶ際の注意点もあるので、ご紹介しておきます。
オフィスの廃棄物処理に関する法律
オフィスの廃棄物の処理を委託する場合には、法律で定められているのでそちらに従わなくてはなりません。平成15年6月に公布された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」です。
この法律は、廃棄物の排出を抑制したり、適正な処理を行ったりするなどの目的で制定されました。事業を始めたばかりで、廃棄物の処理についての知識が乏しいという方はこうした法律によく目を通しておくことから始めましょう。
オフィスの廃棄物には産業廃棄物と一般廃棄物がある
会社の事業活動で出たごみは、産業廃棄物です。ところが、会社で出されたごみがすべて産業廃棄物にはなりません。
たとえば、社員が個人的に出すごみは一般廃棄物になります。家庭ごみが、一般廃棄物と呼ばれるので分かりやすく「事業系一般廃棄物」と呼ばれるようになっています。
産業廃棄物に当てはまるもの
- 燃えがら
- 汚泥
- 廃油
- 廃酸
- 廃アルカリ
- 廃プラスティック類
- ゴムくず
- 金属くず
- ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず
- 鉱さい
- がれき類
- ばいじん
- 紙くず
- 木くず
- 繊維くず
- 動植物性残さ
- 動物のふん尿
- 動物の死体
一般廃棄物に当てはまるもの
上記の中で、一般廃棄物に当てはまるものもあります。
- 従業員の出す弁当などのプラ製容器包装、プラ製品、ビニール袋、トレイ、ペットボトルなど
- 従業員の出す飲料缶、金属製品、ガラスびん
- 新聞紙、雑誌、ダンボール、事務用印刷用紙、カタログなど
- 木星机、テーブル、椅子など
- 賞味期限切れの製品くず
事業系一般廃棄物の処理は、自治体によってさまざまな対応となっているのが現状です。家庭ごみと一緒に回収できる自治体、家庭ごみとは区別して手数料をはらってもらうことで回収ができる自治体があります。
オフィスの廃棄物を適正処理する手順
産業廃棄物の中にも、事業系一般廃棄物と解釈されるものもあることが分かっていただけたでしょう。
実際にオフィスの廃棄物を処理するためには、排出者も処理業者も法律に基づいて進めなくてはなりません。
必要な書類の確認や準備などを把握するためにも、以下の手順に目を通しておいてください。
廃棄物処理の許可を得ているか確認する
廃棄物の処理は、「保管」「収集・運搬」「処分」の3段階があります。それぞれの段階を行う業者が許可を受けている必要があるので、確認を必ず行ってください。
- 収集・運搬業者が、積み込みする都道府県と運搬先の都道府県で許可があるか?
- 処分について、都道府県の許可を得ているか?
- 処分業者が委託する場合、廃棄物の品目の許可を得ているか?
オフィスの廃棄物を業者に依頼する際には、費用だけではなく適正に許可を得ている業者かどうかを確認することも、排出者は注意を払いましょう。
委託契約書を交わす(収集運搬・処分)
オフィスの廃棄物を処分してもらう時には、委託契約書を交わす必要があります。
- 産業廃棄物処理委託契約書(収集運搬用)
- 産業廃棄物処理委託契約書(処分用)
契約書は、それぞれ必要になります。
マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付する
排出者は、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付を行う必要があります。実際には、依頼した業者がマニフェストを準備してくれるのが普通です。
マニフェスト制度により、排出者が最終処分まですべて把握することが義務付けされているためです。
マニフェストは、産業廃棄物を適正に処理していることを証明するものとなります。7枚で構成されているので、それぞれ適切な管理しましょう。
委託契約書とマニフェストは5年間保存する
上記の委託契約書とマニフェストは、5年間保存することも義務付けされています。廃棄物の処分を行う場合、書類の管理をしっかりと行わなくてはなりません。
保存が適正に行われていないと、廃棄物の処理がきちんと行われたことを示す証明ができなくなる可能性もあります。
廃棄物処理が適正ではない場合に科せられる罰金刑
もし、廃棄物の処理が適正ではない場合には、罰金刑が科せられます。廃棄物処理を行った業者だけに科せられるのではありません。排出者、つまり廃棄物処理を依頼した会社にも、科せられることがあります。
事業活動で生じた廃棄物は、排出者が責任を持って処理を行うと決められているためです。
罰金刑の規定として最高3億円とされているので、排出者も充分な注意をしなかればなりません。
オフィスの廃棄物の処理を委託する時の注意点
実際に、オフィスの廃棄物処理を業者に委託する際には、抑えておきたい注意点があります。契約を交す前に、業者の見極めをしっかりと行うためにも注意点を確かめておきましょう。
正規の許可を得ている業者か?
お伝えしたように、産業廃棄物の処理は法律に基づいて適正に処理されなくてはなりません。正規の許可を得ている業者なら、法律を遵守した上で適正に進めてくれます。
費用の安さだけを優先して見積もりを提示する業者には、注意すべきです。無許可営業の業者に依頼してしまうと、排出者も責任を負うようになります。
買取品がある場合には、古物商許可証も必要です。無許可で買い取られたものが、別の場所で売られていたとなると、会社の信用問題にもなってしまいます。
情報漏洩の徹底管理がされている業者か?
オフィスの廃棄物には、パソコン関連も含まれます。会社の情報や顧客の情報など多数入っているわけですので、情報漏洩の徹底管理がされているかどうかも重要です。
もし、情報漏洩してしまうと会社の損失は計り知れないものがあるでしょう。そのためにも、OA機器を処分する際には慎重に業者を見極めるようにしなくてはなりません。
オフィスでは、事務書類の廃棄も定期的に行うものでしょう。情報漏洩の対策を徹底するためにも、業者の選び方は入念に行う必要があります。
まとめ
お伝えしたように、オフィスから出る廃棄物の処理は、排出者は法律に従って行わなくてはなりません。適正な処理を終える義務があるためです。排出者側が管理や保管をしなくてはならないこともあるので、正しく把握しておくことが求められます。
適正な処理をしないままで後で「知らなかった」では済まされないばかりか、会社の評判さえ落とすことにもなり兼ねません。
オフィスの廃棄物の処理を委託する際には、注意点を抑えた上で慎重に見極めるようにしてください。排出者側も、法律に従った流れで廃棄物の処理を委託するためにも、業者側との相談はしっかりと行っておくべきでしょう。