店舗を退去する際に、原状回復を借主が行うことが義務付けられています。ただ、借主と貸主の賃貸契約で成り立っているのですが、双方の立場上、原状回復についての認識が異なることも多く、工事を巡ってトラブルに悩まされることは少なくありません。
今回は、店舗の退去時のトラブル事例・原状回復工事に関するトラブルを避けるための注意点をまとめています。これから、店舗の退去を予定している方は、スムーズに引渡しができるようにするためにも、事例や注意点を参考にしてみてください。
店舗の退去でありがちなトラブル
店舗退去で借主にとってのトラブルは、想像以上に多いものです。トラブルは、裁判沙汰になってしまう可能性もあるほどです。そうなると弁護士へ依頼も必要になり、不動産会社や大家との交渉も長引くばかりとなってしまいます。
原状回復の相場が分からない
借主が店舗を借りた当時に、工事費をかなりかけたため原状回復費用はできるだけ抑えたいと思っていたところ、貸主から値引きの提案がありました。値引と言えば、良心的な対応に感じますがそもそも原状回復の相場が分からないため、値引き後の金額が妥当なのかどうかの判断がつかないトラブルがあります。貸主と交渉をするにしても、原状回復費用の相場を入手していないと提示された金額の判断に困り、交渉が遅々として進まなくなります。
備品を新品に原状回復しなければならない
店舗には、いくつかの照明器具が設置されています。契約期間中には、蛍光灯やLEDの交換を定期的にしていたものの、最近、交換したばかりであっても退去時には貸主から備品にまつわる交換はすべて必要と言われる事例もあります。借主としては、必要以上の出費は少しでも抑えたいと思っているのに、備品に関する交換まで済ませることを余儀なくされているので、そこまで負担をする必要があるのか理不尽な想いをせざる得ません。
原状回復は契約前の店舗と全く同じように戻すのか?
また、賃貸契約には、引き渡しがスケルトンの状態と記載されているため、工事をその状態まで進めている段階で、「この状態では契約前の店舗と同じように原状回復できていない」と貸主が不満を訴え、満足の行く原状回復まで行わないと引渡しに応じられないというトラブルもあります。
原状回復工事の時間帯で費用が高くなった
原状回復工事の依頼を業者の見積もりが、あまりにも高いので問い合わせると夜間の作業になるため割高になるという回答があり、借主は業者とのトラブルに悩まされることもあります。日中の工事ができる環境が整っているのに、正当な理由なく夜間の工事を行うのであれば、交渉をする判断もあり得るでしょう。
店舗の退去で原状回復のトラブルを防ぐ注意点
店舗から退去をする際に、数々のトラブルがありますが中でも原状回復に関するものが大多数を占めています。今後、店舗の退去を予定している、または、いずれは退去をする時期があると考えておられるなら、トラブルを防ぐ注意点を把握しておくのがおすすめです。
貸主の指定業者がいるのか確認する
原状回復工事を行う際に、貸主が指定業者を決めていることも多いため、まず、規約があるのかを確認しましょう。指定業者が有る場合には、費用が高くなる傾向があると言われています。ただ、必ずしも指定業者しか依頼できないかどうかも、貸主へ交渉してみることで他の業者への依頼もあり得るでしょう。貸主は、借主が安い費用でずさんな原状回復を完了させるケースもあるため、業者を指定することで原状回復の満足度を上げたい思惑があります。指定業者が無い場合には、借主が希望の業者を選ぶこともしやすくなるのですが、原状回復を実際にどんな状態まで行うのかは、借主と貸主で判断が一致しないことも珍しくないので、あらかじめ確認をしておくことがトラブルの回避に役立ちます。
過去の原状回復費用を貸主に確認する
過去に原状回復工事を行った物件なら、貸主にその費用の概算を確認してみるのも良いでしょう。貸主としても、過去の費用に添っているのであれば、妥当な工事内容かどうか判断材料にもなるので、よほど事情がない限り伝えてくれると考えられます。むしろ、貸主側も納得の行く引渡しを実現してもらうことで、原状回復工事の折り合いがつくと考えるので、必要以上に拒む理由もないでしょう。
原状回復の交渉には相見積もりを必ず行う
原状回復がどこまでなのかは、貸主と借主の双方の立場から考えているため認識の違いもありトラブルになることが日常的にあります。費用や工事内容を確認する時に、相見積もりは必ず行いましょう。交渉の段階で、自分が情報を得ている見積もりとの差を具体的に出して交渉していくと少なからず役立つからです。
原状回復工事の依頼は、費用の安さだけではなく工事の品質や評判を加味して慎重に業者を選ぶことも意識しておきましょう。相見積もりで費用が安い業者を見つけて依頼をしたとして、引渡しの検査を通過しなくては意味がありません。悪質な業者の場合には、粗悪な工事によりコストを抑えていることもあるからです。そのため、相見積もりでコストだけ業者を選んでしまうと、さらにコスト増のリスクもあり得ると考えておくようにするのが賢明です。
まとめ
ご紹介したように店舗を退去する際には、いろいろなトラブルがあり得るため、事前にトラブルを避けるための注意点を心得ておくのが望ましいと言えます。原状回復工事は、金額・品質・対応の良さとさまざまな観点から業者を絞り込む必要があるので、慎重な見極め方が求められるでしょう。以下の関連記事も、ご覧ください。
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