「高齢になって小売店を維持できなくなった」「郊外型店舗の進出で売れ行きが悪化した」などの理由で小売店の閉店を考えている時には、閉店の仕方に頭を悩ますものです。閉店をする方法は、何となくイメージできても具体的にどこから手をつけて行けば良いのか分かりづらいものです。実際に、閉店をする決意をするにはしっかりと閉店の仕方を把握してから進めようと思われるでしょう。
この記事を読んでもらうと、小売店の閉店の仕方が分かります。店舗物件の解約・個人事業主の場合の閉店に関する手続き・在庫管理・備品や厨房機器などの処分などを徹底解説して行きます。役立つ内容となっているので、ぜひ最後まで目を通してください。
小売店の閉店の仕方~店舗物件
小売店を閉店する時、店舗物件は賃貸であることが多いでしょう。店舗物件の解約の申し出は、契約内容をまず確認しておいてください。解約の申し出を貸主か不動産会社に連絡を済ませておく必要があります。
退去日までに店舗物件を原状回復しなければなりません。そのため、退去日から逆算して事実上の閉店日を決定しておきましょう。日程を組むのはそれほど難しくありませんが、原状回復工事が必要な時の費用や工期はしっかりと把握しておき、日程に合わせて退去がスムーズに行くように綿密な計画が必要です。
個人事業主の閉店の仕方~必要な手続き
小売店は、メーカーから卸売業を経て消費者へ販売する業種です。百貨店からスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンター、アパレル店、家電量販店などすべてのお店が当てはまります。
小売店の経営は、法人と個人事業主の2つの形態がありますが、今回は個人事業主で小売店を経営している場合の必要な手続きを説明して行きましょう。
廃業日を取引先や顧客に周知する
廃業日を決めたら、取引先や顧客へのできるだけ連絡は早い段階で行いましょう。従業員が居れば同じく早く伝えなくてはなりません。その他の手続きを進める際にも時間がかかることから、なるべく早く周知する方が双方にとってもプラスになります。
概ね1~3ヶ月前に連絡をいれるのが普通です。取引先や顧客への挨拶回りも考慮すればそれくらい前に済ませましょう。
税務署へ届出する書類
税務署へ「個人事業の廃業届出書」は廃業日から1ヶ月以内に届出をします。従業員がいれば「給与支払事務所等の廃止届書」も合わせて提出が必要です。また、青色申告を行っている場合には、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」も廃業日から3ヶ月以内に行いましょう。
都道府県税事務所へ提出する書類
抜けてしまいがちなのが、小売店を廃業したら都道府県税事務所への「廃業の届け出」の提出をすることです。こちらは都道府県税事務所への問い合わせをまずしてから、書類の様式や提出期限を確認してください。
保健所での手続き
その他、小売店を開業する際に「食品営業許可証」を受けていた場合には、保健所への返還をしてください。また、「廃業届の提出」が求められるため管轄の保健所への問い合わせをしてみましょう。「廃業届」の提出期限は、各自治体によって異なりますが10日以内と決められている所が多くっています。
小売店の閉店の仕方~在庫品
小売店の閉店を決めたら、現在ある在庫品をできるだけ売りつくさなくてはなりません。業種にも寄りますが在庫を徹底的に少なくするのが理想的です。そのため閉店日から逆算して割引率を上げてセールをするやり方が多くなっています。できるだけ売れ残りを無くすためには、スケジュールにゆとりを持って計画するのがおすすめです。たとえば、閉店日の4~5日前には2割引き、2~3日前には3割引き、前日には半額といった割引幅を決めて行うことが多くなっています。
廃業に伴う在庫品は、廃業処分品としてネットサービスで売るほか、専門業者や不用品回収業者への買取も可能なものもあります。廃業在庫品は、小売店の業種によってさまざまなものがあるため、こうした業者を介した買取だとスムーズに進めやすくなります。
小売店の閉店の仕方~備品・厨房機器などの処分
小売店の閉店でネックになるのが、備品や厨房機器、什器等の処分をどうすべきかという点です。数多くの処分したい不用品が出て来るため、処分のコストをできるだけ抑える必要があります。備品や厨房機器は中古品でも一定のニーズがあるので、不用品回収業者で買取も同時に行っているところに対応してもらうのも一つの方法です。飲食店の厨房機器を専門に買取している業者に査定を受けてみるのも良いでしょう。
数多くの備品や厨房機器をできるだけお得に処分するには、買取査定額が高く出やすい業者を選ぶのが賢明です。小売店の閉店まですべきことが多いので、処分に関する業者選びもあらかじめ候補を探しておくようにしておきましょう。
雑多な不用品の処分に関しては閉店の作業に追われて手が回らないことも多いので、業者に依頼するのが時間短縮にもかなり役立つので検討してみましょう。
まとめ
小売店の閉店の仕方は、物件の解約・提出書類・在庫管理・備品などの処分をそれぞれ把握した上で進めて行かなくてはなりません。手続きに関しては、お伝えした内容で書類を準備できれば受理されるのものなので、それほど難しくはありませんが、抜かりなく進めるべきものだと考えておきましょう。
同時進行ですべきことが次々とあるので、小売店の閉店は時間に追われる恐れも出て来るでしょう。しかし、綿密な計画を立てることで時系列ですべきことが分かりやすくなります。小売店の閉店は、すべきことのポイントを抑えておき着実に済ませていくのが大切です。閉店の決意をしたらできるだけ早い段階に、すべきことを自分なりにまとめておくのが不可欠だと考えておきましょう。